専門家(ファイナンシャルプランナー)からのお話、第三弾。

今日は最近はやりの仮想通貨の確定申告に関する情報です。

仮想通貨は始めたけど、確定申告ってどういう仕組みになっているのかよくわかりませんよね。

税率や所得計算から、将来の見通しまで幅広く、詳細にお伝えしますよ。

投資の種類で税額計算が大きく異なる

仮想通貨元年と呼ばれた2017年(平成29年)の確定申告が終わり、仮想通貨に関する課税が、
特に「億り人」と呼ばれる高額所得者ほど過酷なことが知れ渡ってきました。

課税の過酷さがことさら強調されるのは、株・FX・仮想通貨といった投資の種類によって
税額計算が大きく異なるからです。

ただし仮想通貨の課税が株・FXに比べて全面的に不利なのかと言えばそうではなく、
人によっては株・FXより有利になる場合もあります。

株・FX取引に関する税率および所得計算

仮想通貨の課税に対して評判が悪いのは、株・FX取引に関する税制のわかりやすさの
裏返しでもあります。

株・FX取引の税率は、取引から生まれる売買益もしくは差益に対して、
所得税15.315%・住民税5%で、あわせて20.315%です。

また、例えば上場株式の2018年中の取引でA口座△10万円(赤字)とB口座30万円の所得が
生じた場合、両者を相殺して2018年中の上場株式の取引(譲渡)による所得は20万円と計算され、
4万円強の所得税・住民税が課税されます。

もし2015年の上場株取引で△30万円と赤字が生じていた場合、3年後の2018年までは繰越が可能
です。

2018年の上場株取引で40万円の黒字が生じた場合は、2018年の上場株式の譲渡所得は10万円と
なり、2万円強の所得税・住民税が課税されます。

FX取引に関しても同様の所得計算が行われますが、FX取引の赤字と株取引の黒字をまたがって
相殺、逆に株取引の赤字とFX取引の黒字でも相殺することは不可能です。

仮想通貨に関する税率および所得計算

続いて仮想通貨に関する税制ですが、まず所得計算から先に触れます。

例えば2017年中にA社で取引したビットコインで△10万円、B社で取引したアルトコインで
30万円の所得が生じた場合、2017年の仮想通貨取引による所得は20万円と計算され、この点は
株・FXと同じです。

しかし損失が生じた場合に3年間の繰越は不可能であり、ここがまず大きな不満のタネとなって
います。

次に税率の話に入りますが、地方自治体に支払う住民税の税率はほとんどの自治体では10%で
あり、株・FXの5%に対して倍になります。

続いて国に支払う所得税の税率ですが、ここがシンプルとは言えないところです。

仮想通貨による所得を含めて課税総所得金額を計算し、下記の速算表に基づいて所得税の計算を
行います。

課税総所得金額=A 所得税額
195万円以下 A×5%
195万円超330万円以下 A×10%-9.75万円
330万円超695万円以下 A×20%-42.75万円
695万円超900万円以下 A×23%-63.6万円
900万円超1,800万円以下 A×33%-153.6万円
1,800万円超4,000万円以下 A×40%-279.6万円
4,000万円超 A×45%-479.6万円

上記の速算表で計算した所得税に対し、さらに2.1%をかけて計算した復興特別所得税をあわせた
ものが、実際に負担する所得税と言えます。

課税総所得金額という言葉を使いましたが、これは仮想通貨による所得の他、給与所得など
すべての所得(下記の所得を除く)を合算し、社会保険料控除や医療費控除などの所得控除を
差し引いて計算します。

[課税総所得金額には含めない所得]

・山林の譲渡による所得

・確定申告の対象とした退職所得

・確定申告の対象とした株式等の譲渡所得

・先物取引に係る雑所得(いわゆるFXに関する所得)

・土地建物等の譲渡所得

高額所得者ほど所得税率が高くなるため、この点が株・FXの一定税率に比べて過酷な税制と
言えます。

仮想通貨の税制が株・FXより不利な点のまとめ

その他仮想通貨の税制で独特に見られるものとして、例えばビットコインを売ってアルト
コインを買ったり、ビックカメラでビットコインを使用して電化製品を買ったりした場合にも
課税される点が挙げられます。

お金(法定通貨)をもらう時だけでなく、物々交換に対しても課税は所得税の原則でもあるの
ですが、実際には土地の交換などは優遇税制があるため、仮想通貨の課税が過酷に感じる要因が
ここにもあります。

これまで触れてきた点から、仮想通貨の税制が株・FX取引に比べて不利と言える点が次のように
まとめられます。

・3年間の損失繰越ができず、長期的に見ての税負担が高まる危険性

・所得が億単位の高額所得者には税率が50%前後になる過酷な税制

・円貨に換算できない所得にも課税される

仮想通貨税制が株・FXより有利な場合

ここまで見ると仮想通貨税制が大筋では不利だとわかりますが、一方で逆に株・FXのような
切り離しが行われてないからこそ、有利になる点も見ていきます。

所得が低い場合

まず1点目ですが、所得が低ければむしろ税率は株・FXより低くなる点です。株・FXの税率は
トータルで20.315%です。

一方で、所得税の最低税率は5.105%(課税総所得金額195万円以下)であり、住民税率は10%、
あわせて15.105%です。

課税総所得金額195万円を超えると、株・FXより不利になるように見えますが、10%をかける
だけでなく97.5万円の控除額もあります。

速算表上で計算した所得税額を課税総所得金額で割って10%になるラインは、427.5万円です。

(所得が給与だけの場合は)年収800万円程度でも課税総所得金額427.5万円程度になることは
ありえます。

年収300万円程度+仮想通貨で200万円の儲けでもこのぐらいの課税総所得金額になりえます。

他に雑所得がある場合

確定申告対象の所得は大きく分けて10種類ありますが、仮想通貨取引による所得は雑所得に
該当します。

仮想通貨で損失が出てしまった場合はこのままでは繰り越せずに終わりますが、他に雑所得が
あるときは別です。

雑所得に該当するものは多々ありますが、メジャーなものとしては例えば下記のものが該当
します。

・公的年金・企業年金

・外貨預金の為替差益

・作家ライター以外が得る原稿料

・ソーシャルレンディングの分配金

・サラリーマンの民泊経営による所得

・サラリーマンが業務委託契約で得ている副業の所得

例えばサラリーマンが業務委託の副業で年30万円の雑所得を得て、仮想通貨では△10万円の
損失が出ている場合は、同じ雑所得ということで例外的に相殺できます。

株やFXで△10万円の損失があったとしても、30万円の雑所得との相殺はできません。

株やFXで生じた損失は、あくまでも同じ種類の取引で生じた所得しか相殺できないのです。

将来的には仮想通貨税制は変更も予想される

仮想通貨税制は、専門の研究会で現在の税制が妥当かを議論し、結果として2018年4月には
変更すべき点を意見書としてまとめています。

素朴に考えると、投資・投機目的がある点で共通しているのに、株・FXに関する税制と
仮想通貨の税制が違うのもおかしな話です。

仮想通貨税制を株・FXの税制とそろえるべきという声があがるのも当然の話です。

また別種類の仮想通貨交換に対しては、その段階では課税せず法定通貨に換えた段階で
課税する案や、物品購入の決済について少額のものは非課税にする案などが提言されています。

ただ現状の税制でメリットを得ている人は、税制が変わってしまったばかりに逆に不利になる
ということも頭に入れてほしいです。
・・・・・・
どうでしたか。

だんだんと一般にも認知され始めている仮想通貨ですが、税制がまだ追いついていない感じですね。

これから整備されていくことでしょうね。