年代・時代

1836-1867年(江戸時代末期)

あらすじ

幕末の英雄・坂本竜馬の生涯を、竜馬好きで知られる俳優の武田鉄矢が原作として描いた作品です。

土佐の下士の家で生まれた竜馬は、幼馴染の武市半平太と岡田以蔵とともに、土佐藩の理不尽さと
向き合いながら幼少期を過ごします。

竜馬らの成長とともにやがて土佐藩下士の不満が家老吉田東洋の暗殺となって表面化。

竜馬は江戸へ剣の修行へ行ったり、脱藩して京都へ行ったり。

幕末の混沌とした世の中の中心人物として立ち回り、大きく日本を動かす存在になっていきます。

そんな竜馬も京都の近江屋で襲われ、最期の瞬間を迎えます。

竜馬亡き後の日本がどうなるのかを見ぬままに。

読み物としての評価

(1)書評

コミカルな表現とシリアスな表現が入り混じる作品です。

どちらかというと幼少期編はコミカルが多く、青年になるほどにシリアスな内容が増えてきます。

コミカルな部分は史実にない部分がほとんどで、原作者の武田鉄矢による創作ストーリーです。

実際に幼馴染である武市半平太や岡田以蔵とも子どもの頃からそれほど仲が良かったのかどうかは
不明です。

史実にある部分は忠実に描かれ、空白部分も前後の出来事や当時起こった社会事件と上手に
関わらせながら空白期間を埋めていて一貫性があるため、これが史実なのだと勘違いしやすいので
要注意です。

ちぐはぐな部分がないという点ではストーリーがすっと頭に入ってきやすく、楽しくスラスラと
読めます。

エンターテイメントとして十分楽しめる作品です。

(2)推奨する対象年齢

6歳~。

子ども時代からストーリーが始まるので全く難しくなく読めます。

ただし、竜馬の思春期に性描写がありますので、必要に応じてその巻を間引く等の処置がいる
かもしれません。

(3)総括と評点

歴史初心者でも肩肘張らずに楽しく読める作品

(5/5)

学習への有効性評価

(1)小学生学習補助

ア.書評

小学校の社会の授業は現代社会について比重がおかれます。

今の私たちが住んでいる社会はどうやって回っているのか、行政は?企業は?という視点で
学んでいきます。

現代社会における成り立ちを遡っていくと、そこには明治維新があることに気づくでしょう。

明治維新によって日本は近代化し、太平洋戦争の敗戦によって一度リセットされたのです。

「おーい竜馬」の重要性は「日本の夜明け」と評される明治維新の前夜、その背景をコミカルに
人間関係も含めて知ることができる点です。

小学生の時点では明治維新に関わった人物やその功績についてそれぞれ覚える必要はありませんが、
何がどうなって「明治維新」が起こったのか、その一連の流れを知っておくと、大河ドラマや
時代劇で見る「ちょんまげ」時代と今の社会との間には大きな革命があったことが感じ取れる
でしょう。

「殿様」、「切腹」、「侍」といった中世までの文化は竜馬の時代で途切れたのだと、明治維新は
歴史の大きな節目だったのだと知ることが、小学生が「おーい竜馬」を読む最も大きな意義であり、
今後の歴史の学習にとって大きなアドバンテージとなります。

イ.総括と評点

小学生にも理解しやすく楽しく読め、さらに明治維新の重要性が感じ取れる

(5/5)

(2)中学受験

ア.書評

中学受験で出題されやすのは、明治維新関連で、元号が「明治」になってからのものです。

江戸時代についてはやはり前期から中期くらいまでが出題されやすく、幕末に関しては稀です。

しかし、明治維新以降だけ覚えようと思っても、漢字だらけの単語がたくさん出てきてなかなか
難しいのです。

例えば、なぜ廃藩置県が行われたのか、なぜ廃刀令が出されたのか、五箇条の御誓文とは、
大政奉還って何のこと?などすべて幕末に関係してきます。

誰がどんな関係で、明治維新に至ったのかを紐解くと、その中心にいたのが坂本竜馬でした。

坂本竜馬は今で言う社会起業家のようなもので、社会問題をどうしたら解決できるかを考え、
古い体制にとらわれず、問題解決のみを目指して動いていた人物です。

その結果が明治維新という具体的な成果として現れました。

「おーい竜馬」ではフィクションも多いものの、明治三傑の1人、西郷隆盛ってどんな人?
だったり、大政奉還って何のためにどうやって起こったの?という素朴な疑問がこの漫画を読めば
解決するはずです。

坂本竜馬を中心に考えると、新選組も、幕府の動きも、倒幕派の人物像も見えてくるのです。

例えば、西郷隆盛がわかれば明治以降の重要事件である、明治6年の政変も、征台論も、西南戦争も
イメージしやすくなります。

明治維新をイメージするにはまずは幕末からです。

イ.総括と評点

受験頻出範囲とは間接的に重要な時代関係であるため、読んでおくと有効

(5/5)

(3)高校受験

ア.書評

高校受験になると、明治維新以降はもちろんのこと、幕末についても重要なワードの出題が
増えます。

幕末を扱う上で特に難しいのが思想の違いです。

大きく分けると、「佐幕派」、「尊王派」、「攘夷派」、「開国派」に分けられます。

これがくっついたり分派したりして、「尊王攘夷」だの「勤王」だの「倒幕」だのとなるわけです。

漢字だけ見てもちんぷんかんぷんです。

「おーい竜馬」では、どの派にも属さずに中立的な立場で竜馬が動いていたため、誰がどんな主張を
していたのかがわかりやすく描かれています。

もちろん、途中で主張が変わった例もあります。

幕末の動乱の中心にいた長州は当初「尊王攘夷」を唱えていたものの、下関戦争で負けて以降、
徐々に開国派へと舵を切ります。

薩摩も佐幕派であったのが、竜馬の斡旋で薩長同盟を結んでから倒幕派へと変わっています。

昨日の敵は味方、味方だったのが敵に変わるというポジションチェンジがよく行われていたので、
この時代において相関図を作るのは非常に厄介なのです。

それが真ん中に竜馬が入ったことでなぜ手を結んだのか、敵対したのかがスッキリとわかるように
なります。

惜しむらくは、坂本竜馬が殺されてしまった時点で物語が終わってしまうので、明治維新まで
あと一歩という詰めの部分が描かれていないこと。

しかし、幕末にたくさん現れる重要人物たちの人間関係がわかるという点で学習に有効です。

イ.総括と評点

人間関係がスッキリとするので、明治維新後の人間関係もわかるようになる 5点

(5/5)

(4)大学受験

ア.書評

高校受験までは重要な歴史的な出来事や人間関係まで把握していればよかったため、「おーい竜馬」
は受験勉強に役立ちました。

ただ、大学受験となると厄介な壁が立ちはだかります。それは、フィクションが多いという点です。

受験する大学・学部によりけりですが、日本史の試験はマニアックな内容が含まれることが多大に
あります。

「おーい竜馬」はそのマニアックな部分を非常に面白くストーリーとしてまとめています。

あまりにも自然にストーリーが表現されているので、予備知識があまりない状態で歴史の勉強を
兼ねて読み進めると、どれがフィクションでどれが史実なのかがわからなくなってしまいます。

坂本竜馬の功績についてはまだ不確定要素も多いので、受験で直接的に出題されることは稀
でしょうが、周囲の人物とどのように関わったのかについて問われることはありそうです。

「おーい竜馬」では、それぞれのキャラクターが非常に個性的に描かれていますので、
歴史人物を覚えるのに適しています。

特に後藤象二郎や福岡孝弟、陸奥陽之助といった、ちょっとマニアックな人物は覚えやすい
はずです。

さらに、薩長土肥との関係はどうだったのか、各藩のキーマンは誰なのかを整理して覚えておくと
明治時代になってからの関係性や歴史的事件の背景がわかりやすくなります。

イ.総括と評点

フィクション部分がさも史実のように自然に描かれているので受験勉強としては少々危険

(3/5)

まとめ

漫画として非常に読み応えがあり、面白い作品です。

特に登場人物のキャラクターが個性的なので、覚える歴史人物が多くなる明治維新前後の学習には
有効です。

しかし、読み物として面白くするために架空の人物やフィクションが各所にあるので、
学習するときにはその点を認識した上で読み進められると良いでしょう。